環境考察 強いデッキはなぜ強いのか?
どうも。結局ミラクルローグ考察何も書きませんでしたね。ゆるして
今回は、環境デッキと呼ばれるようなデッキたちの、環境を取るに至った理由とかその辺を考察したいと思います。
1.テンポとバリュー
テンポとバリューとは古くからあるカードゲームの用語なのですが、ふわっとしたイメージは大体共有されていても、カッチリとした定義などはあまりないというのが通説ですね。
騎士団環境においてテンポローグが流行した際、マリガン/プレイガイドを見ていると、定義がないことに触れておいて、筆者それぞれのテンポ観というか、この記事ではとりあえずこういう意味で扱っておく、というような前書きがたくさんあったのは記憶に新しいですね。
私もそれに習ってちょっと書いとこうと思います。
- テンポ
「tempo」という単語自体の意味は「速さ」とかそんな感じなのですが、それではカードゲームにおける「速さ」とは何でしょう?
これについて考える前に、ひとまず「アグロ」という語にも触れておきましょうか。
一般にカードゲームにおいて「速い」デッキというと「アグロ」デッキと呼ぶのが習わしですが、「aggro」というのは「いらだち」とか「攻撃性」という意味だそうです。
ガンガン相手のライフを詰めていくアグレッシブな様子を表しているということでしょうね。というかアグレッシブはアグロの形容詞型になりますからね。
「アグロ」自体には「速さ」に直接関係する意味はないですが、アグレッシブにライフを詰めていく行動が、短い試合時間、つまり「速い」試合展開につながるため、「アグロ」デッキは「速い」デッキという関係が成り立ちます。
となると、カードゲームにおけるテンポというのがますますわけがわからなくなってきます。
一般にテンポはアグロデッキに対する表現のように「速い」「遅い」で表現されますが、カードゲームにおけるテンポが、デッキが意識している試合展開の「速さ」を表すというのであれば、「テンポを取る/奪う」行動という表現は一体何を指しているのでしょうか?
さて、では一度基本に立ち返って、ハースストーンは何をすれば勝利できるのか、そのために何ができればいいのかを考えてみましょう。
ハースストーンの勝利条件は至ってシンプルです。相手のヒーローのライフを削りきればいいだけですね。
ではその相手のライフを削る手段は?呪文で直接ダメージを与える、武器で殴るといろいろありますが、基本はミニオンを召喚して攻撃することになりますよね。
呪文や武器は使用回数が限られていますが、ミニオンは一度召喚されると、除去されない限り毎ターン一度ずつ無限に攻撃することが可能です。
よってハースストーン系、というよりMtG系カードゲームでは、「盤面を取る」ことが最も重要視されるわけですね。
ここから何が言えるかというと、「盤面を取っている」プレイヤー側が、「早く相手のライフを奪う」ことができるわけです。よって「テンポが速い」プレイヤーということができますね。
つまり、MtG系カードゲームでは「盤面の強さ」と「テンポの速さ」がある程度同じ意味になってしまうわけです。ここから、「盤面を取る/奪う」と「テンポを取る/奪う」という表現が混同されてしまっているのではないでしょうか。
「盤面を取る力が強い」「ライフを削る能力が高い」デッキが、「テンポを取る力が強い」デッキ、所謂テンポデッキなどと言われているというわけでしょうかね。
まあ個人的にはニュアンスが伝われば別になんでもいい気もしますけどね。
こんなに長々と書かれたものを読まなくてもこっちを読んだほうがわかりやすい↓
- バリュー
対してバリューというのは比較的イメージしやすいですね。
「value」自体は「価値」とか「有用性」を表す語ですから、カードゲームではそのまま「その状況において価値のある/有用性の高い」カードというのが「バリューの高い」カードと呼べるのではないでしょうか。
また他にも、「マナあたりのバリューが高い」などという表現もありますが、こちらは「マナあたりの有用性が高い」と言い換えればすっと意味が通りますね。
バリューはカードに対してだけでなく、行動に対しても使用される表現です。
例えば、ジャングルハンター・ヒーメットはデッキ内の低コストカードを取り除き、中盤以降に欲しいカードだけをデッキに残すことで、ドローの質を高めることができます。
こういった行動も、「将来的なバリューを高める」などと表現されることがあります。これもバリューのイメージがつかめていると割とわかりやすいですね。
2.現在の環境デッキたち
さてなぜここまでテンポとバリューのことを書いたかというと、もちろん今の環境を語るためです。
今強いとされているデッキはほとんど、マナコストあたりのバリューが高い所謂パワーカードを活かせる構築だったり、逆に様々なギミックを駆使してマナコストを踏み倒し、無理やりテンポを取ったりバリューを高める動き(所謂テンポスウィング)が可能な構築をしています。
では具体的に見ていきましょう。
このデッキはヴォイドロードというコスト効率に優れたカード(合計スタッツ9/6/18)を、取り憑かれた従者と、またマナアリの髑髏によって召喚コストを踏み倒したり、肉食キューブによって数を増やすことでコストを踏み倒しながら強引に盤面を確保します。
ヴォイドロード二枚だけだと普通に突破できる可能性もありますが、そこから屍山血河のグルダンと頽廃させしものン=ゾスなどのカードにつなげることができ、コスト踏み倒しが成功されれば倒し切ることは難しくなります。
このムーブを可能にしているキーカードが暗黒の契約です。
味方のミニオンを一体破壊する必要があるとはいえ1マナ8点回復はコスト効率に優れ、単純にコンボパーツが揃うまでの時間稼ぎにもなりますし、何より1マナで味方のミニオンが破壊できるというのが特筆すべき特徴です。
取り憑かれた従者、肉食キューブともども本来これらを使用したターンはテンポを大幅に相手に譲ることになります。理由は言うまでもなくマナコストあたりのスタッツが低いからですね。
特に肉食キューブは効果を発動するには一旦味方のミニオンを破壊する必要がありますからさらにテンポを失うことになりますし、沈黙やバウンスによって対処されるなんてもってのほかです。
しかし召喚時即座に暗黒の契約によって割ってしまうことで、これらのデメリットを帳消しにすることが可能です。
ハンターも死にまねという似たようなプレイングが可能なカードを持っていますが、サーチカードは豊富なもののウォーロックと違ってドローソースが少なく、除去とコンボ達成を両立することが非常に難しいです。
1枚1枚のカードパワーはずば抜けて高いわけではないものの、あらゆるギミックによってコストを踏み倒し、バリューとテンポを高めているのがこのデッキというわけですね。
ここまで書いてこれ書く意味あるか?って思っちゃったため断念します。消すのももったいないからボツ供養として一応投稿しときます。